
GPT-6.1 Terra は、OpenAI が2026年10月26日に公開した、画像の理解とコンピューター操作、文章作成に強い高速・低価格のモデルです。API の標準料金は100万トークンあたり入力 $1・出力 $5 で、GPT-6.1 Sol のちょうど半額です。
専門業務の評価 Agents' Last Exam では、medium 同士の比較で最上位モデル GPT-6 Astra と同じ57.6%を出しました。GPT-5.6 Terra の後継で、API は公開日から使え、ChatGPT の Work と Codex にはアカウントごとに順次提供されます。ただし ChatGPT の通常のチャット(Chat)では選べません。最も複雑なコーディングは、今も Sol と Astra の方が向いていると OpenAI 自身が説明しています。
2026年10月28日時点の情報です。OpenAI の発表文・API のモデル文書・ChatGPT リリースノート・システムカードをもとにしています。スコアはすべて OpenAI の公表値です。
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ひと目でわかる GPT-6.1 Terra
API のモデル文書に載っている基本の仕様です。
| 項目 | GPT-6.1 Terra |
| API のモデル ID | gpt-6.1-terra |
| 料金(100万トークンあたり) | 入力 $1 / 出力 $5 |
| キャッシュ入力 | $0.05 |
| コンテキストウィンドウ | 105万トークン |
| 最大出力 | 12万8,000トークン |
| 知識のカットオフ | 2026年6月1日 |
| 入力 / 出力 | テキスト・画像 / テキスト |
| 推論の強さ | none〜max(既定は medium) |
GPT-6 ラインナップでの位置づけ
GPT-6 世代の料金表で見ると、上から Astra、Sol、Terra、Luna の順です。GPT-5.6 Terra は前の世代で、比較用に入れています。Terra は Sol と Luna の間で、速さと料金の安さを優先したモデルです。
| モデル | 入力 / 出力 | キャッシュ入力 |
| GPT-6 Astra | $10 / $50 | $1 |
| GPT-6.1 Sol | $2 / $10 | $0.10 |
| GPT-6.1 Terra | $1 / $5 | $0.05 |
| GPT-5.6 Terra | $2 / $12 | $0.20 |
| GPT-6 Luna | $0.10 / $0.50 | $0.01 |
100万トークンあたりの Standard 料金で、単位は USD です。Terra に向いている仕事として OpenAI が挙げたのは、提案書の作成、技術図面の読み取り、フォームへの入力、動画の編集など、業務時間の多くを占める作業です。API の例としては、受け取った請求書を読み取って会計ソフトに入力する、件数の多い作業を挙げています。
性能:ベンチマークの結果
OpenAI は多くのモデルを推論の強さ(reasoning effort)の5段階(low〜max)で動かし、段階ごとのスコアと1作業あたりのコストをグラフで公表しました。下の折れ線グラフは、横軸が作業あたりのコスト、縦軸がスコアです。コストはモデルによって数十倍の開きがあるため、横軸は対数目盛にしています。目盛りが1つ右へ進むごとに、コストは約3倍になります。
1本の線が1つのモデルで、点は左から low→max の順に並びます。左上にあるほど、低いコストで高いスコアを出しているということです。
専門業務:Agents' Last Exam
建築図面から3Dモデルを作る、アニメーション映画をショットごとに確認して修復チーム向けのタイムコード記録を作る、といった専門業務をコンピューター上でこなせるかを見る評価です。Claude Opus 5.5 は max の結果だけが公表されています。
medium の Terra は57.6%で、Astra の medium と同じスコアです。作業あたりのコストは $0.29 で、Astra($4.82)の約17分の1です。GPT-5.6 Terra の medium(42.6%、$0.84)と比べると、スコアは15ポイント高く、コストは約3分の1になりました。
max の Terra は60.0%で、Sol(58.6%)と Astra(59.3%)の最高スコアも上回ります。ただし 1位は Claude Opus 5.5(63.2%)です。作業あたりのコストは Terra が $1.01、Opus 5.5 が $8.82 で、約9分の1です。縦軸は30%から始まっているため、線の間隔は実際の差より大きく見えます。
OpenAI は速さも強調しています。発表文によると、この評価で Terra は Astra や 6.1 Sol より3倍以上速く作業を終えました。ただし、時間の数値は公表されていません。
コンピューター操作:OSWorld 2.1
デスクトップのアプリを何段階も操作して、作業を最後まで終えられるかを見る評価です。技術図面から3Dモデルを作る作業なども含まれます。OpenAI が公表したのはオフラインセットの結果です。
Terra は medium(66.7%、$0.50)だけで、GPT-5.6 Terra の最高スコア(max で57.1%、$4.76)を超えました。一方で、この評価では上位モデルに追いついていません。max 同士では Terra 74.2%、6.1 Sol 78.0%、Astra 80.9% で、1位は Claude Sonnet 5.5(83.9%)です。Terra がコストで勝るのは Astra と Sonnet 5.5 に対してで、max の作業あたり $1.19 は Sonnet 5.5($5.74)の約5分の1です。6.1 Sol と比べると、下の4段階では Terra の方が安いものの、max では 6.1 Sol の方が $1.15 と安く、スコアも高くなっています。
画像の理解:MMMU-Pro
図・グラフ・写真を含む問題を、推論して解く評価です。
1位は Astra(86.7%)で、Terra(85.5%)との差は1.2ポイントです。OpenAI は、Terra がすべての推論の強さで GPT-5.6 Terra を上回ったと説明しています。low の Terra(83.7%)だけでも、GPT-5.6 Terra の max(81.7%)より高い数値です。作業あたりのコストは Astra の約5分の1です。
事実の正確さ
わざと誤りを引き出すように選んだ難しい質問で、事実の誤りが1つでも含まれた回答の割合を測った OpenAI の社内評価です。普段使うときの誤り率ではなく、モデル同士を比べるための数値です。
OpenAI が強調した low では、GPT-5.6 Terra の53.6%から16.7%へ約37ポイント、medium では51.5%から10.1%へ約41ポイント下がりました。max では4.3%で、Astra(4.2%)、6.1 Sol(4.4%)とほぼ同じです。システムカードの別の評価(ユーザーが誤りを報告した実際の会話をもとにしたもの)でも、6.1 Sol と同程度でした。
コーディング:Terminal-Bench 4.0
コマンドラインでコーディングの課題を解くエージェントの評価です。読み込み中にレイアウトが崩れる Web ページを直す、といった作業が含まれます。
Terra の50.3%は、GPT-5.6 Terra の公表スコア(21.5%)の2倍を超えます。それでも、比較したモデルの中では下の方で、1位は Claude Sonnet 5.5(70.6%)です。OpenAI も、最も複雑なコーディングには 6.1 Sol と Astra の方が向いていると書いています。作業あたりのコストは 6.1 Sol とほぼ同じです。
科学研究の作業をコードで進める Terminal-Bench-Science 0.1 では、max 同士で Terra が58.3%($4.15)となり、6.1 Sol(57.0%、$5.47)を上回りました。1位は Astra(68.1%、$23.80)です。OpenAI が「フォールバック使用」と注記した Claude Opus 5.5 は63.3%($23.21)でした。
料金:Sol の半額、出力は GPT-5.6 Terra より58%安い
標準料金は 6.1 Sol のちょうど半分です。GPT-5.6 Terra と比べると、入力は半額、出力は $12 から $5 へ58%下がりました。出力が長い作業ほど、差が大きくなります。
1回のリクエストで入力10万トークン(うち9万トークンがキャッシュにヒット)、出力5,000トークンを使うエージェントを考えます。キャッシュが温まったあとの、リクエスト1,000件あたりの費用は次のとおりです。
計算式は(1万 × 入力単価 + 9万 × キャッシュ入力単価 + 5,000 × 出力単価)÷ 100万です。1回あたりでは Terra は $0.0395 で、6.1 Sol($0.079)の半分、GPT-5.6 Terra($0.098)の約40%です。
モデル文書には、ほかにも料金の条件が書かれています。
- キャッシュ書き込み:30分保持は入力の1.25倍($1.25)、12時間保持は2.5倍($2.50)です
- 長いリクエスト:入力が27万2,000トークンを超えると、そのリクエスト全体が入力・キャッシュ2倍、出力1.5倍の料金になります
- 処理の方式:Batch と Flex は半額($0.50 / $2.50)、Fast モードは2倍($2 / $10)です。データレジデンシー(リージョン処理)のエンドポイントは10%上乗せされます
- Ultrafast はない:低遅延の Ultrafast モードは、6.1 Sol と Astra にしかありません
ChatGPT Work・Codex で使う
ChatGPT のリリースノートでは、Plus、Pro、Business、Enterprise、Edu の ChatGPT Work と Codex に順次提供されます。モデル一覧から GPT-6.1 Terra を選びます。Work では Advanced のモデル一覧にあります。Free と Go プランについての案内はありません。
- 通常の Chat では使えない:ChatGPT Work・Codex の文書は、Work と Codex でのみ使えると書いています
- プランの上限は変わらない:利用上限そのものは同じです。ただ、同じ作業に使う量が少ないため、Sol や Astra よりはるかに多くの作業ができると OpenAI は説明しています
- 既定の設定が変わることがある:一部の Plus・Pro ユーザーは、Work の既定の Power プリセットが「GPT-6.1 Sol の Light」ではなく「GPT-6.1 Terra の Medium」になっている場合があります
- 速度:Standard と Fast のモードに対応しています
- Codex CLI:モデル文書は 0.159.0 以降で
codex -m gpt-6.1-terraを実行するよう案内しています。変更履歴では、10月27日の 0.165.0 でモデルカタログに追加されています
どれくらい多く使えるかは、ChatGPT Work・Codex の料金ページにある目安でわかります。
| モデル | 5時間あたりのメッセージ(Plus) | クレジット(入力 / 出力) |
| GPT-6.1 Terra | 35〜285 | 25 / 125 |
| GPT-6.1 Sol | 15〜160 | 50 / 250 |
| GPT-6 Astra | 5〜45 | 250 / 1,250 |
メッセージ数は5時間あたりのローカルメッセージの推定値で、作業や設定によって大きく変わり、保証ではありません。週ごとの上限が別にかかることもあります。Business(Standard)は Plus と同じ範囲で、Pro には現在5時間あたりの上限がありません。
クレジットは100万トークンあたりの単価です。Terra は GPT-5.6 Terra(入力50 / 出力300)の半分以下になりました。
API で使う
Responses API、Chat Completions、Batch で gpt-6.1-terra を指定します。関数呼び出し、構造化出力、ストリーミング、プロンプトキャッシュに対応しています。コンピューター操作(computer_use)、Web 検索、コード実行などの組み込みツールは、Responses API でしか使えません。ファインチューニングと Realtime には対応していません。
6.1 Sol と違い、推論の強さに none を指定できます。推論を挟まずにすぐ答えてほしい分類や抽出の作業に使えます。次の例は、請求書の画像から項目を取り出す Python SDK のコードです。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
response = client.responses.create(
model="gpt-6.1-terra",
# none / low / medium(既定)/ high / xhigh / max
reasoning={"effort": "none"},
input=[{
"role": "user",
"content": [
{"type": "input_text",
"text": "請求元、請求日、合計金額、支払期限を JSON で返してください"},
{"type": "input_image", "image_url": "https://example.com/invoice.png"},
],
}],
)
print(response.output_text)
例は OpenAI API の文書にあるリクエストの形式をもとに、筆者が作成しました。
読み取りの精度が足りないときは、low 以上に上げて結果を比べてみてください(筆者の提案です)。レート制限は利用ティアによって変わり、1分あたり5,000〜15,000リクエスト、1分あたり100万〜4,000万トークンです。
安全性:サイバーセキュリティは「Critical」扱い
システムカードによると、OpenAI は Terra を、Preparedness Framework でサイバーセキュリティは「Critical」、生物・化学は「High」の水準として扱っています。Sol・Astra より低価格帯のモデルですが、同じ安全対策を適用しました。
- 最近の脆弱性の攻撃コード:2026年6〜8月に公開された脆弱性で、任意のコード実行に成功した割合は24.5%です。6.1 Sol(21.5%)より高く、Astra(31.5%)より低い数値です
- プロンプトインジェクション:指示の優先順位を守る評価は99.99%で、Astra・6.1 Sol と同程度です
- アラインメント:GPT-5.6 Terra より、任された範囲を守り、限界や行き詰まった点をユーザーに正直に伝える可能性が高いと OpenAI は説明しています
日本で使うときに確認したいこと
日本の利用者が気にしそうな、提供範囲、日本語の情報、料金、データの置き場所を整理します。
提供範囲と日本語の公式情報
確認した範囲では、公式文書に日本を対象外とする記載はありません。リリースノートにある地域に関する注記は、UAE での推論(処理の場所)に対応しないという1点だけです。ただし提供は順次で、日本のアカウントにいつ表示されるかは書かれていません。
日本語の発表文は公開されています。一方で、ChatGPT リリースノートの日本語版は、10月28日時点で10月16日の項目が最新で、Terra の項目はありません。日本語の料金ページも本文は英語で、USD 表示です。提供プランや上限を確かめるときは、英語版のリリースノートと料金ページを見るのが確実です。
日本語での性能を示す公式の数値(日本語のベンチマークなど)も、公表されていません。
料金は USD のみ
API の料金は USD で示されていて、円建ての公式単価はありません。為替で数字が変わるため、この記事でも円に換算していません。ChatGPT の各プランも含め、請求額(通貨・税の扱いを含む)は購入画面や請求画面で確認してください。
API のデータレジデンシー:Terra は米国と EU だけ
API で日本国内のデータ保存を考えている場合は、ここが一番の注意点です。OpenAI のデータ管理の文書は、GPT-6.1 Sol と GPT-6.1 Terra が対応するデータレジデンシーは米国と EU だけと書いています。
日本のエンドポイント jp.api.openai.com は、もともと保存のみで処理(推論)には対応しておらず、Terra はその対象にも入っていません。データを日本に置くことが社内の要件なら、Terra を使う前にこの条件が要件と合うか確認してください。この節は公式文書の整理で、法的な助言ではありません。
誤解しやすい点
対象プランに Business が入るかは、文書によって違います。発表文は Plus・Pro・Enterprise・Edu の4つだけを挙げています。同じ日に出たリリースノートと変更履歴には Business も含まれています。
「50%安い」の基準は2つあります。6.1 Sol と比べると、入力・出力ともちょうど半額です。GPT-5.6 Terra と比べると、入力は半額、出力は58%安くなりました。
「Astra と同等」は一部の評価の話です。Agents' Last Exam の medium では同じスコアでしたが、OSWorld 2.1 と Terminal-Bench 4.0 では Astra と 6.1 Sol の方が高く、どちらも1位は Claude Sonnet 5.5 です。費用が効く大量の業務は Terra、最も複雑なコーディングは Sol・Astra(OpenAI の説明)、という使い分けになります。
Terra は Luna の代わりではありません。最も安いモデルは、今も GPT-6 Luna($0.10 / $0.50)です。
まとめ
- GPT-6.1 Terra は2026年10月26日に公開された GPT-5.6 Terra の後継で、API 料金は 6.1 Sol の半額($1 / $5)です
- 専門業務の評価 Agents' Last Exam では
medium同士で Astra と同じ57.6%を出し、事実の誤りはmaxで Astra 並みまで下がりました - コーディングとデスクトップ操作の最高スコアは、Sol・Astra・Claude Sonnet 5.5 の方が上です
- ChatGPT では Work と Codex でのみ使え、通常の Chat では使えません。API のデータレジデンシーは米国と EU だけで、日本のエンドポイントでは使えません
参考
- GPT-6.1 Terra のご紹介(OpenAI)
- Introducing GPT-6.1 Terra(OpenAI)
- GPT-6.1 Terra(OpenAI API モデル文書)
- GPT-5.6 Terra(OpenAI API モデル文書)
- Pricing(OpenAI API 料金)
- Data controls in the OpenAI platform(OpenAI API のデータ管理)
- ChatGPT release notes(OpenAI ヘルプ)
- ChatGPT Work・Codex の変更履歴
- ChatGPT Work・Codex の料金
- ChatGPT Work・Codex のモデル
- GPT-6.1 Terra システムカード補遺(OpenAI)
あわせて読みたい記事
- [AI] OpenAI API の12時間キャッシュとは?書き込み2.5倍でも3回目から得 — OpenAI API の12時間キャッシュを扱った記事です。Terra も12時間キャッシュの書き込みが入力の2.5倍($2.50)なので、同じ計算がそのまま使えます
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